
最近、あなたは泣きましたか?今回は、涙の効用について考えてみます。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、という感情は、誰もが持っています。ところが、いつから人間がそのような意識を持つに至ったか分かりませんが、私たちは大人になるにつれ、感情を露わにすることは恥ずかしいことだと思うようになっていきました。特に、「泣く」(=涙)と言うことについては、「泣き虫」「弱虫」のようなイメージがあり、男性などは「男のくせにメソメソするんじゃない!」などと、小さい頃から我慢を強いられてきたのではないかと思います。
けれど本来、大人だろうが男だろうが、涙とは自然な心と体の反応であり、そう我慢できるものではないのでは?それなら血液型で何かしら違いがあるかもしれない、ということで、以前テレビ番組で「涙もろいのは何型か?」という実験を行ったことがありました。どんな実験かというと、みなさんもよくご存じの『フランダースの犬」という物語、その最終回アニメを、各血液型8人ずつに観てもらい、そのうち何人が涙を流したか?というものでした。何ともテレビ番組ならではの、ユニークな着想による実験です。
『フランダースの犬』は、世界で最も悲しい結末の物語として有名なのだそうで、主人公の少年ネロと老犬パトラッシュは、最初から最後までずっと不遇のまま、死の直前に教会の一枚の絵に光を見て息が絶えるという悲劇の物語です。米国では、あまりに悲劇的な終わり方なので子どもたちに見せるにはどうかということになり、結末を書き換えたとさえ聞いています。
さて、この、世にも悲しい物語に対する血液型の反応はどうだったのでしょうか。
O型は8人中7人で、”涙ボロボロ度”が1番となり、中には号泣する人さえいました。そして次はB型(4人)、A型(2人)、AB型(2人)という順番です。A型の中には、涙を必死でこらえて耐え抜き、流すまでに至らなかった人が数人いたようでした。AB型においては、どこか笑みを浮かべてる?かのように見えたと思ったら、突然怒り出しちゃった…なんて、ユニークな反応をしてくれた方もいました。
ナルホド、ナルホド、という結果です。こうした遊び心たっぷりの実験でも、血液型らしさがちゃんと出るのが、血液型の面白いところ。この結果に対して、深掘りしてコメントしたいところですが、ここではあくまで、体質的機能の面だけを考えてみたいと思います。するとやはり、自律神経との関りが大きいのではないかと思っているのです。
自律神経というのは、交感神経と副交感神経のことですが、簡単にいうと、活動モードが交感神経、休息モードが副交感神経の働きであり、人間は皆、この両神経のバランスをとりながら生命活動をしています。またこれらの働きは不随意神経であり、自分の意志ではコントロールが難しい働きでもあります。そして情動や感情、ホルモン分泌とも連動しています。血液型は、これら自律神経と深く関係がありそうで、今の段階では、O型やB型は副交感神経に、A型とAB型は交感神経に傾きやすいということが、ある程度いえます。
涙や笑いなどの情動は、副交感神経との相互関係が強いということですから、O型やB型が、涙腺が緩みやすいのも納得できます。逆に交感神経型のA型やAB型の涙腺が緩みにくいのも、なるほどということになります。
たとえば、「悲しい」「可愛そう」という状況を見て情動が生まれたとして、O型やB型は、それが素直に生体的にも表現されやすいのですが、A型やAB型の場合、交感神経による抵抗が働き、涙としてストレートに表れないことが多くなるのかもしれません。そもそも交感神経の働きは分泌腺を収縮させるため、物理的に涙の量も少なくなるのでしょう。もちろん、悲しい状況に対する共感性、共感力なども関係してくると思うので、それには個人差もありそうです。
ここで考えどころなのは、自律神経のバランスの大切さです。最近の研究で言われていることは、笑ったり泣いたりすることは、自律神経の内分泌を調整し、心身をリセットし、リラックスさせる働きがあるというもので、なかでも特に、”泣く”ことは、リセット作用が強く働くのだそうです。嫌な気分を涙と一緒に放出して、気分スッキリ!ということでしょうか。つまり私たちは、心身の健康維持のために、もっと泣いた方が良いということが分かったのです。
これを受け入れるためには、今まで何となく信じ込まされてきた「泣くのは恥ずかしい」という信念のようなものを、一旦まっさらにする必要がありそうです。そうはいっても、人前で自由に泣けというのも、今更なかなか難しいかもしれませんので、せめて一人でいるときや、親しい人と過ごすときぐらいは、気持ちの向くまま、涙の出るままにしてみたらいいかもしれませんね。
私は、それを知ってからというもの、泣くことにあまり抵抗せず、むしろ密かな健康法として活用しています。たとえば、PC作業で目や肩の凝りがひどくなったり、ない頭を使って脳疲労を起こしていたり、そんな日の夜は、感動する動画を観てたくさん涙を流し切って、それから寝るようにします。これがなかなか良い感じで、「涙でリセットする」という、気分スッキリ効果を実感しているのです。
涙の実験結果でも分かったように、A型やAB型は、意識的に涙腺ブロックを外してあげた方がいいかもしれません。交感神経に傾きやすい体質というのは、左脳の働きとも連動しているので、「泣いたら恥ずかしい」「誰かに見られたら…」というような、外側へ向かう意識を手放してみることも必要ですね。
これまで人間は、自分の感情を無視して、我慢し苦悩に耐えるよう無理を強いてきたように思います。だからといって感情を野放しにして良いということではありませんが、しくみが分かってきたことで、もう少し肩の力を抜いて、優しく自分と関わった方が良いのだということが見えてきました。各血液型の持つ体質的特性も、ひとつの参考として、上手に活用してくださればと思います。